原田マハ「#9」。
読みたい一冊だったこの本、文庫化にあたって改稿があったと知り、文庫本の方を購入したのが月曜日の仕事帰り。
昨日の朝、出勤時に読み始めたらページをめくる手が止まらなくなり、読み進めて深夜に読了。2000年代に入ったばかりの上海を舞台にした現代美術をめぐりつつの恋愛小説。おかげで、朝を迎えて今に至るまで、私はまだ夢幻の境地を漂っています。訪れたことのない、上海の街を感じているような。
彼女の小説に初めて出逢ったのが「楽園のカンヴァス」、「美術」が小説の中でドラマになる作品(アートミステリーなんてカテゴリーがくっついてた)で、夢中になって読みました。
続けて読もうと思って購入した「ジヴェルニーの食卓」は、なんだか読み惜しんでしまって手元に置いたまま。そうこうしているうちに「ユニコーン-ジョルジュ・サンドの遺言」が刊行されてしまった。
この二冊の前に昨日読み終えたのが「#9」で、これら全作に共通しているのが「美術」です。
原田マハさんは同世代の作家で、MoMAや森美術館でのキュレーターの職歴を持つ方。わりと多作で、様々なタイプの小説がすでに出版されてます。
彼女の「美術」絡みではない作品にも夢中になれるかどうか…いずれ手にしてみようと思うけれど、とにかく彼女が美術品について描く時の筆の走り方が見事すぎるのです。
最近、新聞での対談記事に興味を惹かれてやはり同世代の女性作家の新刊本をKindleに落として読んだのですが、おもしろくなくて腹立たしかった。くだらないものを読んじゃった自分に対する苛立ち、です。Kindleからは即削除しました。
こういう経験の後だったので、「#9」の読後感が際立つのかもしれません。
やっぱり、自分にとって価値あるものを如何に手にするかは、価値のないものをちゃんと知ってることが重要なのかと。
醜いものを知らなければ美しいものに気づけない、つまらないものを知らなければおもしろいものに気づけない、というように。
原田マハさんの小説は、最近私が見つけた宝物のひとつなので、これからも楽しみに手にとっていこうと思います。
まあ、多少通俗がすぎるきらいもあり、外連に走る感じもあるけれど、ドラマのダイナミズムは堪能しました。あくまでも私の好みの問題だけど。
上海に行きたくなったし。
ああ、読み応えのある、堅牢で美しい日本語の小説を読みたい。
やっぱり漱石先生が基本かな。