tv asahiなんでも!クラシック2014「ギターってなに?」キッズ編

10-3b池袋の東京芸術劇場プレイハウスにて、フェスティバルの中から2つのプログラムを聴いてきた。次男と共に。
大萩康司×松尾俊介の組み合わせは私達にとって世界一のスーパーミラクルデュオなので、ふたりとも5歳以下でも55歳以上でもなかったけれど、嬉々としてチケットを取り、出かけてきた。
今回のプログラムを見つけた時、このデュオの出番が「”はじめる”クラシック」として「キッズから」と「ミドルエイジから」に向けた「初心者にやさしい、ポケットにもやさしい、破格だけど本格派のお楽しみコンサート」という企画の中にあり他にはヴァイオリン、ピアノ、歌が並んでいたこと、出演者のふたりの名前に続いて(ギター・お話)と書かれていたことで、いつものリサイタルとは明らかに違うタイプのものだとわかり、それが楽しみで同時に心配だった。
終わってみればこのコンサートは2本とも、「楽しみ」は想像以上に楽しく、「心配」は想像どおりに的中してた。

東京芸術劇場プレイハウスは演劇公演で中に入ったことがあったけれど、クラシックギターもよく響く小振りで上品なホールで、ここで音楽を聴くのもいいなあと思った。

まず、朝10:45〜11:45の「キッズ」向け「ギターってなに?」のプログラムは以下のとおり。

ファリャ/タラゴ編:バレエ音楽「三角帽子」〜粉屋の踊り
ダカン/リョベート編:クラヴサン曲集第1巻章第2組曲〜かっこう
松尾俊介ギター・ソロ ディアンス:ワルツ・アン・スカイ
大萩康司ギター・ソロ 横尾幸弘:”さくら”の主題による変奏曲
ドメニコーニ:サーカス・ミュージック 作品54
第1曲 アルゼンチン⼈のナイフ投げ
第2曲 スペイン⼈のギリシャ⾺乗り
第3曲 蝋⼈形館
第4曲 あひるのレース
第5曲 アンデスの蚤プリック
第6曲 ウラルの魔法の声とドン・コサック
第7曲 氷上の消防団
第8曲 鍵⽳から消えるヨガ⾏者
第9曲 ザ・オーケストラ・セイズ・グッバイ
ぼさのばドラえもんのうた(世界初演)
藤井眞吾:ラプソディー・ジャパン

アンコール レノン&マッカートニー/ブローウェル編:ペニー・レイン

多彩。本当にとりどりの楽曲を並べて、一時間めいっぱいのプログラムだった(15分くらいはみ出してた)。
客席は0歳児からどうぞ、の企画どおりに小さい子どもたちがいっぱいで、でも子ども連れではない人もたくさんいて、「子どもにどうぞ」用に選ばれた楽曲をこうして聴けるのはとっても得しちゃったなと思った。特に「サーカス・ミュージック」では大萩さんの顔芸もたくさんで、あれはこんな機会ならではのパフォーマンスだったはず。
ターゲット層だった子どもたちはどうだったかというと、とても自由で、泣く子、叫ぶ子、踊りだす子、手拍子する子、いろいろだった。
次男とあとから語り合ったのだけれど、たぶん子どもたちには「”さくら”の主題による変奏曲」の静かな緊張がちょっと怖すぎたんだと思う。あそこでそわそわし始めたり泣いちゃったりした子が多かった。
舞台奥の壁面へ投影する照明の色をたくさん変えて演奏に演出を加えていたのが、異空間性を強調したのかなとも。
そのキッズたちが一斉に揃って心をうきうきっとさせたのは「ぼさのばドラえもんのうた」が始まった瞬間だった。
二本のクラシックギターがあのイントロをきらきらと演奏し始めたとたんに、客席のそこここで「ドラえもん?」「ドラえもん?」「ドラえもん?」とキッズたちが囁き出したのがおもしろかった。
実際、このおなじみの楽曲がボサノバのアレンジで流れるのは心地よくて、心がふわっとほどけていく感じがした。この曲をこの二人が演奏するのはこれが最初で最後なのかな。テレビ朝日のキッズ向け企画ならではの「ドラえもん」だったわけだから。…だとしたら、とっても貴重な演奏をちゃんと聴いたなって思う。
「ドラえもん」から「ラプソディー・ジャパン」、アンコールの「ペニー・レイン」まで、ふわっとほどけた心のまま会場の雰囲気もすっかり和んで無事に終了。演奏は、本当にこんな機会ならではの楽しさでいっぱいだった。

そして、心配していた「お話」の方について。
「キッズ」向けで「ビギナー」向けの設定なんだから、「クラシックギター」がどんな楽器かってお話があればよかったのになあって思った。形の説明とか、弦の本数とか、どんな音が出るのかとか、叩いても音がするよ、とか。
きっと、ほかの「”はじめる”クラシック」シリーズでは、そういう話をしていたと思うんだけどなあ。だれか、こういう話をするといいよってメモを作ってあげればいいのにな。

でも、最後の「ペニー・レイン」で正確に手拍子を打っていた女の子は、自然にそれを始めて楽しそうだったし、踊り始めた子も嬉しそうだったから、みんなきっと音楽を楽しむひとときをちゃんと過ごしていたのにちがいない。
少し大きくなってからとか、もっと大きくなってからとか、あの時聴いたあれはクラシックギターだったのかって思い出すのがいいんだよね、キッズの心に残るのは、大萩×松尾デュオの美しいギターの響きなのだから。

ということで、未来への種まきの会場に着席して、私達もいつもとはちょっと違う特別な体験をしたように思います。

長くなっちゃったから、午後の方はまた別に。